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自作の小説等を置いていったり、読了した本の感想をほんの少し書いたりしていきます。
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一章、小さな祝祭・・・其の四


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 午後一時半。陽は頭上から七人を照らしていた。朝よりも気温が高い。誰もが自然と垂れてくる汗を、腕で拭っていた。
 叶田が帰って来てから、次の遊びを全員で考えていた。もうサッカーはしないだろうということで、天地はサッカーボールを持って帰っていた。
「ようし、せっかく今日は人が少ないんだ。鬼ごっこでもしよう」
 そう提案したのは佐倉だった。確かに今日は、いつもより人通りが少ないとはいえ、あまりにも思いつきすぎる気がした。しかし、では他に何かあるかと聞かれれば、何もいえないのだけど。
「っていってもさ。村は結構広いし……。やるなら、どこまでが範囲か決めとかないと駄目だよ。そうだなあ、吉川病院辺りまで、とか」
 野島が、人差し指を立ててそう言った。確かに、そういうルールは決めておかないといけないな。村中を逃げ回るような鬼ごっこなんて、果たして終わるかどうか。鬼に選ばれた人が悲惨な目にあうのが目に見えた。
 吉川病院、という名が出たが、ここは村唯一の病院だ。院長の吉川徹朗さんが毎日夜遅くまで頑張って診療してくれているおかげで、村の皆は元気でいられる。何でも、助手である谷あやめさんのことが、佐倉は好きらしいのだが。いや、これはあくまで噂であって、本人に聞いてはいないのだけど。
 吉川病院の場所は、ここから美鳥川を下って三キロ程いった分かれ道を右に曲がった先にある。……つまり、鬼ごっこの範囲は三キロということか。結構距離がある。
「ちょっと鬼は辛そうだけど、まあいいよな。捕まった人も鬼になるんだし」
「そうそう。手早く仲間を増やしちゃえばいいんだよー」
 天地の言葉に、波田が相槌を打った。……どうやら、鬼ごっこをやることに決まってしまったようだ。
「じゃ、じゃんけんで鬼を決めましょうか」
 三ツ越がグーの手を出す。それに続いて皆も手を出した。
「最初はグー……」
「じゃんけん、」
 そして、全員が振りかぶって、思い思いの形を、振り下ろした。
 僕と佐倉、そして三ツ越がパー、野島、波田、茂木、天地がグーだった。最初の一回であいこにならず、上手い具合に勝ちと負けに別れてしまったので、悔しがるというより、皆驚いていた。
「ううん、まあ四人も負けがいるから、まだマシかあ。よし、それじゃあ第二戦だよ」
 波田がもう一度振りかぶる。それを合図に、他の三人もまた手を振りかぶった。
 ……そして、最後に残ったのは、天地だった。あいこが出ないまま、トントン拍子で鬼になってしまった為か、情けない笑みを浮かべる。
「いやあ、つくづく運が無いなあ」
 鬼は辛いかもしれない、と最初に言ったのは天地だ。これは本当に苦しいぞ、というように、苦笑いのまま頭を掻く。
「ふふ。まあ、頑張ってください、天地さん」
「お、おう……」
 天地は、三ツ越に励まされ、ぎこちなくポーズを決めた。……大丈夫だろうか。
「それじゃあ、始めようか」
 茂木の一声で、全員が走る準備をする。天地は、その声で後ろを向き、座り込んで十を数える準備をする。
「……始めっ」
 天地のカウントを聞きながら、一斉に六人は、走り出した。
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